横浜ソーシャルビジネスフォーラム2014        【分科会1】「多様な事業者ネットワークの可能性」レポート

開催日時
2014年3/15(土)
開催場所
横浜シンポジア

▶横浜ソーシャルビジネスフォーラム2014 開催概要 http://yokohama.etic.or.jp/forum2014/

分科会1:「多様な事業者ネットワークの可能性」

横浜ソーシャルビジネスフォーラムの分科会1では、「多様な事業者ネットワークの可能性」をテーマに、ムイットボン上田尚矢さん、ふらっとステーション・ドリームの泉一弘さん、2名の起業家に、基調講演講師であるクルミドコーヒー店主の影山知明さんに、引き続きご登壇いただき、事例紹介とパネルトークを行った。

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ムイットボン上田尚矢さん
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上田さんは、障害者作業所をモノ作りから支援するNPO法人ムイットボンの代表。美大出身のアーティストでもある。障害者の給料である工賃を上げることを目標に活動している。工賃を上げるためには「お商売」をする必要がある。そのために、作業所間のネットワーク作りから販路設定までを手掛ける。デザイン、予算、スケジュール管理など利用者さんや職員さんとのワークショップを通し、作業所に企画力を身に着けてもらうことを狙いとして関わっている。

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ふらっとステーション・ドリーム泉一弘さん
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泉さんは横浜市戸塚区のドリームハイツでコミュニティカフェを運営する、NPO法人ふらっとステーション・ドリームの理事長。ドリームハイツは約40年前にでき、現在は人口5000人、高齢化率40%で一人暮らし世帯が増え、限界団地となっている。カフェは、ふらっと寄れる居場所だけでなく、ボランティア活動など地域の活動が生まれている。

コメンテーターコメント

クルミドコーヒー店主の影山知明さんから事例紹介について3点のコメントを頂いた。

まず1つ目は「コミュニティビジネス」。泉さんは、自分たちは、ソーシャルビジネスではなく「コミュニティビジネス」を行っているとおっしゃっていた。ソーシャルビジネスは同じ志を持った人たちが集うのに対し、コミュニティビジネスは、参加者を選ばず、関わり合いを持つ難易度が高いと言える。だからこそ問題を解決する能力を備えたモノが出来上がるのではないか。
2つ目は「当事者性」。影山さんは以前関わったコミュニティカフェで、お客さんが当事者になりにくいという経験があった。そこでコモンミールという取り組みを行い、互いに料理を作り合う、料理の受け手と作り手になる仕掛けを作ったことで彼らに当事者性が芽生え、地域の新たな活動に発展したという。
3つ目は「経済的に持続可能なものとなるか」。経営を成り立たせるためには、「当たり前のことをやる」ことが大切だと影山さんは話す。営業日はきちんと営業する、そしてコーヒーがぬるくない、待たされないなどお客さん側が当然のことと思っていることが出来ることを第一に考えている。
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パネルトーク

コーディネーターイータウン米田より、当事者性を持ってどのように事業を持続させていくかについて各ゲストに話を伺った。

上田さんは、販路を先に作っているそうだ。大型ショッピング店などの販路ではお客さんの顔が見えずに品質管理が行き届かないので、顔の見える範囲で販路に合った商品を無理なく作るようにしている。そして顔の見える範囲の販路だけで工賃が上がる仕組みを作り、そこから外の販路を開拓している。

泉さんは、一緒に活動している地域の方々の当事者性が生まれた背景をお話してくださった。「ふらっと」という言葉には、「ふらっと(来てください)」「バリアフリー」「人間関係(のフラット性)」という意味を込めている。ドリームハイツがあるこの地は市民農園があり作ったものを持ってきてくれる風土があり、「地域をみんなで作る」ことが根付いていそうだ。

影山さんからは、「特定多数」という考え方についてのコメントがあった。「特定多数」、具体には3,000人の顧客がつくことで1つの事業が「経済」として成り立つと考えている。値段だけでなく商品の背景も含めて受け取ってもらえる規模は、3,000人だという。儲からないことも含め、人と人の関わり合いの網目を濃くし、「自分事」と考えてくれる3,000人の仲間をまず作る。これが「経済」を成り立たせると考えているそうだ。

続いて米田から、ステークホルダーとの意見相違をどう乗り越えるか、つながりづくりの出発点についても伺った。

上田さんは、商品づくりのための作業所でのワークショップを行っているが、意見の相違は必ず起こるという。ぶつかり合うが、話し合うことで解決策を探していくそうだ。

泉さんは、意見の違いを認め合い、地域の様々な団体と関わり合っている。ふらっとステーションの地域では外に開かれている団体が多いという。自治会と市民活動団体の意識は違うが、違いを認め合っている。自治会だけ、または市民活動団体だけで地域の課題は解決できないということを合意できるように努力しているそうだ。また、つながりづくりのベースとして、地区内アンケートを行ったという。アンケート結果に基づいて、多くの人が必要性を感じていた「見守り」の活動をスタートさせた。最大多数の問題でもあるので、反対意見は出ないそうだ。

影山さんは、違いをどう乗り越えるために、「人」ではなく「コト」にフォーカスすることを大切にしているという。問題となるコトを起こした「人」を責めるのではなく、その「コト」が起こらないための解決を考える。また、関わっている人が、自己決定でその場にいる、当事者でいる場づくりを大切にしているという。また、「関わらない自由」という視点も提示された。関わりたくない人まで呼んでしまうと自己決定の前提が成り立たず、話し合いが前向きに進まないことがある。関わる範囲に境界を立てず、関わりたいと思う人が関われる、自己決定できるようにしているそうだ。

最後に、今回のテーマ「持ち寄りが生み出す社会の新しい価値」について、登壇者それぞれから参加者へメッセージをいただいた。

上田さんは、「特定多数」という言葉が心に刺さったという。3,000人という人数は見えそうで見えない。ファンとも少し違う、「特定多数」をもっと深めていきたいと話す。

泉さんは、ふらっとステーションに来てくれる顔の見える個人をどのくらいいるかつかめていないので「特定多数」という観点を入れてみたいという。

影山さんは、お客さんもお店のつくり手だと話す。お客さんの反応、様子をみて、コールアンドレスポンスでお店をつくってきている。クルミドコーヒーのある西国分寺は、行政上の地名ではない。事柄によって西国分寺という範囲は広くもなり、狭くもなる。境界のあいまいな範囲内で取り組みを進めていくのがコツではないかという。

ネットワークをつくっていく中で、小さいことからトライアンドエラーでやってみる自由さ、そして関わり方の自由さ、2つの自由を受け止める。そうすることで特定多数の人たちが参加しやすい場が生まれてくるのではないだろうか。
 


横浜ソーシャルビジネスフォーラム2014 【基調講演】のレポートを読む

▶横浜ソーシャルビジネスフォーラム2014 【分科会2】のレポートを読む

▶横浜ソーシャルビジネスフォーラム2014 【分科会3】のレポートを読む


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2014年3/15(土)
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分科会1:「多様な事業者ネットワークの可能性」

横浜ソーシャルビジネスフォーラムの分科会1では、「多様な事業者ネットワークの可能性」をテーマに、ムイットボン上田尚矢さん、ふらっとステーション・ドリームの泉一弘さん、2名の起業家に、基調講演講師であるクルミドコーヒー店主の影山知明さんに、引き続きご登壇いただき、事例紹介とパネルトークを行った。

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ムイットボン上田尚矢さん
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上田さんは、障害者作業所をモノ作りから支援するNPO法人ムイットボンの代表。美大出身のアーティストでもある。障害者の給料である工賃を上げることを目標に活動している。工賃を上げるためには「お商売」をする必要がある。そのために、作業所間のネットワーク作りから販路設定までを手掛ける。デザイン、予算、スケジュール管理など利用者さんや職員さんとのワークショップを通し、作業所に企画力を身に着けてもらうことを狙いとして関わっている。

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ふらっとステーション・ドリーム泉一弘さん
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泉さんは横浜市戸塚区のドリームハイツでコミュニティカフェを運営する、NPO法人ふらっとステーション・ドリームの理事長。ドリームハイツは約40年前にでき、現在は人口5000人、高齢化率40%で一人暮らし世帯が増え、限界団地となっている。カフェは、ふらっと寄れる居場所だけでなく、ボランティア活動など地域の活動が生まれている。

コメンテーターコメント

クルミドコーヒー店主の影山知明さんから事例紹介について3点のコメントを頂いた。

まず1つ目は「コミュニティビジネス」。泉さんは、自分たちは、ソーシャルビジネスではなく「コミュニティビジネス」を行っているとおっしゃっていた。ソーシャルビジネスは同じ志を持った人たちが集うのに対し、コミュニティビジネスは、参加者を選ばず、関わり合いを持つ難易度が高いと言える。だからこそ問題を解決する能力を備えたモノが出来上がるのではないか。
2つ目は「当事者性」。影山さんは以前関わったコミュニティカフェで、お客さんが当事者になりにくいという経験があった。そこでコモンミールという取り組みを行い、互いに料理を作り合う、料理の受け手と作り手になる仕掛けを作ったことで彼らに当事者性が芽生え、地域の新たな活動に発展したという。
3つ目は「経済的に持続可能なものとなるか」。経営を成り立たせるためには、「当たり前のことをやる」ことが大切だと影山さんは話す。営業日はきちんと営業する、そしてコーヒーがぬるくない、待たされないなどお客さん側が当然のことと思っていることが出来ることを第一に考えている。
CIMG8870

パネルトーク

コーディネーターイータウン米田より、当事者性を持ってどのように事業を持続させていくかについて各ゲストに話を伺った。

上田さんは、販路を先に作っているそうだ。大型ショッピング店などの販路ではお客さんの顔が見えずに品質管理が行き届かないので、顔の見える範囲で販路に合った商品を無理なく作るようにしている。そして顔の見える範囲の販路だけで工賃が上がる仕組みを作り、そこから外の販路を開拓している。

泉さんは、一緒に活動している地域の方々の当事者性が生まれた背景をお話してくださった。「ふらっと」という言葉には、「ふらっと(来てください)」「バリアフリー」「人間関係(のフラット性)」という意味を込めている。ドリームハイツがあるこの地は市民農園があり作ったものを持ってきてくれる風土があり、「地域をみんなで作る」ことが根付いていそうだ。

影山さんからは、「特定多数」という考え方についてのコメントがあった。「特定多数」、具体には3,000人の顧客がつくことで1つの事業が「経済」として成り立つと考えている。値段だけでなく商品の背景も含めて受け取ってもらえる規模は、3,000人だという。儲からないことも含め、人と人の関わり合いの網目を濃くし、「自分事」と考えてくれる3,000人の仲間をまず作る。これが「経済」を成り立たせると考えているそうだ。

続いて米田から、ステークホルダーとの意見相違をどう乗り越えるか、つながりづくりの出発点についても伺った。

上田さんは、商品づくりのための作業所でのワークショップを行っているが、意見の相違は必ず起こるという。ぶつかり合うが、話し合うことで解決策を探していくそうだ。

泉さんは、意見の違いを認め合い、地域の様々な団体と関わり合っている。ふらっとステーションの地域では外に開かれている団体が多いという。自治会と市民活動団体の意識は違うが、違いを認め合っている。自治会だけ、または市民活動団体だけで地域の課題は解決できないということを合意できるように努力しているそうだ。また、つながりづくりのベースとして、地区内アンケートを行ったという。アンケート結果に基づいて、多くの人が必要性を感じていた「見守り」の活動をスタートさせた。最大多数の問題でもあるので、反対意見は出ないそうだ。

影山さんは、違いをどう乗り越えるために、「人」ではなく「コト」にフォーカスすることを大切にしているという。問題となるコトを起こした「人」を責めるのではなく、その「コト」が起こらないための解決を考える。また、関わっている人が、自己決定でその場にいる、当事者でいる場づくりを大切にしているという。また、「関わらない自由」という視点も提示された。関わりたくない人まで呼んでしまうと自己決定の前提が成り立たず、話し合いが前向きに進まないことがある。関わる範囲に境界を立てず、関わりたいと思う人が関われる、自己決定できるようにしているそうだ。

最後に、今回のテーマ「持ち寄りが生み出す社会の新しい価値」について、登壇者それぞれから参加者へメッセージをいただいた。

上田さんは、「特定多数」という言葉が心に刺さったという。3,000人という人数は見えそうで見えない。ファンとも少し違う、「特定多数」をもっと深めていきたいと話す。

泉さんは、ふらっとステーションに来てくれる顔の見える個人をどのくらいいるかつかめていないので「特定多数」という観点を入れてみたいという。

影山さんは、お客さんもお店のつくり手だと話す。お客さんの反応、様子をみて、コールアンドレスポンスでお店をつくってきている。クルミドコーヒーのある西国分寺は、行政上の地名ではない。事柄によって西国分寺という範囲は広くもなり、狭くもなる。境界のあいまいな範囲内で取り組みを進めていくのがコツではないかという。

ネットワークをつくっていく中で、小さいことからトライアンドエラーでやってみる自由さ、そして関わり方の自由さ、2つの自由を受け止める。そうすることで特定多数の人たちが参加しやすい場が生まれてくるのではないだろうか。
 


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