ソーシャルビジネス現場訪問レポート2013 Vol.10               「特定非営利活動法人カフェ・デラ・テラ 藤谷恵一さん」


特定非営利活動法人カフェ・デラ・テラ 藤谷恵一さん

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「特定非営利活動法人カフェ・デラ・テラ」は、戸塚駅近くのお寺に場を借り、地域コミュニティの再生を目指す環境文化活動団体だ。お寺という公共空間で活動している他に、商店会と大学教員や学生が一緒に運営をしているという特徴もある。法人の理事長で、地元商店会「とつか宿駅前商店会」会長でもある藤谷恵一さんからお話を聞いた。
 

奇跡的な出会いが「学びあいの場」を生んだ

「カフェ・デラ・テラ」が生まれたきっかけは、平成18年の戸塚駅周辺開発事業で駅東口エリアが、人の流れから取り残されるのではないかという危機感だった。「あの当時、まちには、対話がなかった。」と藤谷さんは振り返る。
戸塚駅東口旧東海道沿いの今後を考えようと、集いが開かれた。カフェ・デラ・テラが活動場所としている善了寺とのご縁は、その時に生まれた。藤谷さんは30年以上、お寺の近くで店舗営業してきたが、それまでは善了寺との接点はなかったという。
会合が重なり「戸塚宿東集会」と名付けられた集いには、様々な人が集った。文化人類学者で、環境運動家、スローライフを提唱している明治学院大学教授の辻信一さんも、その一人だった。商店会と大学、地域が、お寺という場で出会い、対話が生まれ、学びあいがはじまった。
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人を分断しない、つながりを壊さない

大きなお金の流れやコンクリートの建物は、人を分断し元のつながりを壊す。「より速く」「より大きく」「より多く」を求め、社会は様々な課題を抱えてきた。「NPO法人カフェ・デラ・テラ」では、地域、環境、福祉、経済…様々な課題や有り様が議論された。
どこから来たのか、関わった人が全てわかる。どこで誰に使われているかを確められる。プロセスや情報がオープンな友産友消の輪、小さくていい、丁寧な関係の上に生まれる文化や地域を大切にしたい。顔の見える関係の中での信用創造こそ、まちや暮らしの基盤として大切で、持続可能な地域社会を築く。このコンセプトを、ローカルな戸塚から、ゆっくりと広げていきたい。それが、カフェ・デラ・テラのスロームーブメントだ。
デラテラ7
 

形にする。人のつながりをつくる。

取材は、カフェ・デラ・テラがイベント等で借りている善了寺の「聞思堂」という建物で行われた。「聞思堂」は、スロームーブメントを具現化し、カフェ・デラ・テラと善了寺の協働事業で、2010年9月に設計が始まり2012年4月に完成した。
木、竹、土、石など、循環型の自然素材が使われ、輸送にエネルギーがかかる外材は使わず、東日本大震災被災地支援として宮城木材を使用。伐採から自然乾燥、製材まで中間業者が入らない、使うことで森を守れる木材を選んだ。
建築には、伝統的な技術を持つ職人の他に、ワークショップを開いて様々な人が自主参加した。わら積み、竹組み、土塗りなどの作業を共にして、人のつながりが生まれた。
設計は、外光を取り込む工夫がなされている。日中は太陽の明かりのもとに集い、夜は太陽光発電の電源を、電気自動車に蓄電して使用される。冬の暖房は、床暖房とペレットストーブだ。ペレットも建物と同じ、宮城の森の木質ペレットが使われている。
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これからのまち・社会。小さくても可能な「モデル」を。

この聞思堂と善了寺本堂に場を借りて、カフェ・デラ・テラでは、「足るを知る」「ちょうどいい」「分かち合う」という価値と暮らし方を発信する機会を、様々につくっている。夏至・冬至に行われるキャンドルナイトをはじめ、学習会やコンサート、カフェ、ヨガ教室など、そこで大切にされていることは、人と人が社会的につながること、お金でなく魂でつながる場をつくること、自然とのつながりを感じ、大切にすることだ。
デラテラ9

活動を続けていくための資金は、もちろん必要だ。各種イベントなどでは、「参加の対価」ではなく、「恩送り」を募る。恩送りとは、受けた恩を別の人へ送ること。めぐり、つながる、慈しみと感謝の気持ち。この活動が未来へ続いていくようにと気持ちを込めた恩送りを、参加者それぞれが金額を決めて、カフェ・デラ・テラに託す。

事業規模を大きくすることが、発展であり成功のように考えられがちだが、カフェ・デラ・テラの願いは、小さくても丁寧な、顔が見える場やつながりが、各地に生まれることだ。ソーシャルビジネスとは、社会課題を解決し、新しい価値を発信する事業に持続可能性を求めていくものだ。カフェ・デラ・テラは「ビジネス」という言葉とは相いれない価値の可能性をひろげる活動だが、自然の資源との付き合い方、想いに共感する人が集う機会、参加の機会をつくり、各地に願いを広げ続けていく。その有り様には、ソーシャルビジネスが学ぶべき、とても大切な本質が存在すると感じた。
デラテラ4
 

●事業内容

地域コミュニティの再生をめざし、つながりのある文化や暮らしかたを伝えるイベントやワークショップ、講演会、コンサートなどをお寺で開催。人と地球にやさしいライフスタイルを提案している。

●組織概要

団体:NPO法人カフェデラテラ
所在地:〒244-0002 神奈川県横浜市戸塚区矢部町125
WEBサイト http://www.cafedelaterra.org/


ソーシャルビジネス現場訪問レポート2013 Vol.10               「特定非営利活動法人カフェ・デラ・テラ 藤谷恵一さん」


特定非営利活動法人カフェ・デラ・テラ 藤谷恵一さん

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「特定非営利活動法人カフェ・デラ・テラ」は、戸塚駅近くのお寺に場を借り、地域コミュニティの再生を目指す環境文化活動団体だ。お寺という公共空間で活動している他に、商店会と大学教員や学生が一緒に運営をしているという特徴もある。法人の理事長で、地元商店会「とつか宿駅前商店会」会長でもある藤谷恵一さんからお話を聞いた。
 

奇跡的な出会いが「学びあいの場」を生んだ

「カフェ・デラ・テラ」が生まれたきっかけは、平成18年の戸塚駅周辺開発事業で駅東口エリアが、人の流れから取り残されるのではないかという危機感だった。「あの当時、まちには、対話がなかった。」と藤谷さんは振り返る。
戸塚駅東口旧東海道沿いの今後を考えようと、集いが開かれた。カフェ・デラ・テラが活動場所としている善了寺とのご縁は、その時に生まれた。藤谷さんは30年以上、お寺の近くで店舗営業してきたが、それまでは善了寺との接点はなかったという。
会合が重なり「戸塚宿東集会」と名付けられた集いには、様々な人が集った。文化人類学者で、環境運動家、スローライフを提唱している明治学院大学教授の辻信一さんも、その一人だった。商店会と大学、地域が、お寺という場で出会い、対話が生まれ、学びあいがはじまった。
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人を分断しない、つながりを壊さない

大きなお金の流れやコンクリートの建物は、人を分断し元のつながりを壊す。「より速く」「より大きく」「より多く」を求め、社会は様々な課題を抱えてきた。「NPO法人カフェ・デラ・テラ」では、地域、環境、福祉、経済…様々な課題や有り様が議論された。
どこから来たのか、関わった人が全てわかる。どこで誰に使われているかを確められる。プロセスや情報がオープンな友産友消の輪、小さくていい、丁寧な関係の上に生まれる文化や地域を大切にしたい。顔の見える関係の中での信用創造こそ、まちや暮らしの基盤として大切で、持続可能な地域社会を築く。このコンセプトを、ローカルな戸塚から、ゆっくりと広げていきたい。それが、カフェ・デラ・テラのスロームーブメントだ。
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形にする。人のつながりをつくる。

取材は、カフェ・デラ・テラがイベント等で借りている善了寺の「聞思堂」という建物で行われた。「聞思堂」は、スロームーブメントを具現化し、カフェ・デラ・テラと善了寺の協働事業で、2010年9月に設計が始まり2012年4月に完成した。
木、竹、土、石など、循環型の自然素材が使われ、輸送にエネルギーがかかる外材は使わず、東日本大震災被災地支援として宮城木材を使用。伐採から自然乾燥、製材まで中間業者が入らない、使うことで森を守れる木材を選んだ。
建築には、伝統的な技術を持つ職人の他に、ワークショップを開いて様々な人が自主参加した。わら積み、竹組み、土塗りなどの作業を共にして、人のつながりが生まれた。
設計は、外光を取り込む工夫がなされている。日中は太陽の明かりのもとに集い、夜は太陽光発電の電源を、電気自動車に蓄電して使用される。冬の暖房は、床暖房とペレットストーブだ。ペレットも建物と同じ、宮城の森の木質ペレットが使われている。
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これからのまち・社会。小さくても可能な「モデル」を。

この聞思堂と善了寺本堂に場を借りて、カフェ・デラ・テラでは、「足るを知る」「ちょうどいい」「分かち合う」という価値と暮らし方を発信する機会を、様々につくっている。夏至・冬至に行われるキャンドルナイトをはじめ、学習会やコンサート、カフェ、ヨガ教室など、そこで大切にされていることは、人と人が社会的につながること、お金でなく魂でつながる場をつくること、自然とのつながりを感じ、大切にすることだ。
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活動を続けていくための資金は、もちろん必要だ。各種イベントなどでは、「参加の対価」ではなく、「恩送り」を募る。恩送りとは、受けた恩を別の人へ送ること。めぐり、つながる、慈しみと感謝の気持ち。この活動が未来へ続いていくようにと気持ちを込めた恩送りを、参加者それぞれが金額を決めて、カフェ・デラ・テラに託す。

事業規模を大きくすることが、発展であり成功のように考えられがちだが、カフェ・デラ・テラの願いは、小さくても丁寧な、顔が見える場やつながりが、各地に生まれることだ。ソーシャルビジネスとは、社会課題を解決し、新しい価値を発信する事業に持続可能性を求めていくものだ。カフェ・デラ・テラは「ビジネス」という言葉とは相いれない価値の可能性をひろげる活動だが、自然の資源との付き合い方、想いに共感する人が集う機会、参加の機会をつくり、各地に願いを広げ続けていく。その有り様には、ソーシャルビジネスが学ぶべき、とても大切な本質が存在すると感じた。
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●事業内容

地域コミュニティの再生をめざし、つながりのある文化や暮らしかたを伝えるイベントやワークショップ、講演会、コンサートなどをお寺で開催。人と地球にやさしいライフスタイルを提案している。

●組織概要

団体:NPO法人カフェデラテラ
所在地:〒244-0002 神奈川県横浜市戸塚区矢部町125
WEBサイト http://www.cafedelaterra.org/