ソーシャルビジネス現場視察会2013 報告レポート       第5回「はるかぜ書店」 

開催日時
2013年10月16日
開催場所
はるかぜ書店

ソーシャルビジネス現場視察会2013 報告レポート 第5回「はるかぜ書店」

学んだポイント:資金調達

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2013年10月16日に第5回ソーシャルビジネス現場視察会「はるかぜ書店」が行われた。
「はるかぜ書店」は2006年横須賀に開業したカフェ・レンタルスペース併設の若者就労支援研修店舗としての書店。ひきこもりや不登校の子ども・若者たちの支援を行う NPO法人アンガージュマン・よこすかが経営、運営はひきこもりの当事者が行っている。理事長の島田徳隆さんは、東京のサポート校講師、 横須賀市青少年課の非常勤職員を経て同法人の活動に携わっている。視察会では、多様な機能で若者を支援する資金調達について学んだ。
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前日からの台風もあり開催が危ぶまれたが、10名の参加で、アットホームな視察会となった。まず初めに店舗を見学した。店内には本だけでなく、レンタルボックスでは手作り品が並べられ、駄菓子コーナー、奥にはカフェスペースもある。そして、のれんをくぐり奥へ進むと、学習塾スペースとなっていて、書店スペースの真裏部分にはフリースペースがあり、畳敷きの自由に過ごせる部屋がある。
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様々な機能が詰まった店舗だが、天井を見るとどのスペースにも壁と天井の間に隙間がある。書店に来てもらったお客さんに、不登校の子どもについて知ってもらうために、あえて子ども達の声が聞こえるような作りにしたそうだ。駄菓子や手作り品を販売しているのも、普段書店に足を運ばない方達にも来てもらい「地域の人に活動を知って興味を持ってもらいたいから」と事務局長の石井さんは話す。
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軍港があり、元々外へ開けた場所だったという土地柄もあってか、この事業を始める時も、まちに受け入れられる感覚があったそうだ。アンガージュマンとは「社会参加」という意味で、「子どもも団体としても社会参加を」と地域に受け入れられるよう商店街のイベントには、積極的に参加している。商店街には若者が少ないので、はるかぜ書店に通う若者たちがイベントなどで街を盛り上げる役割を担っている。
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今回の「学べるポイント」は資金調達。「はるかぜ書店」の概要をお聞きした後、資金調達に関する質問がたくさん上がった。以前は、学習塾事業が収益のメインだったが、現在は書店などの就労支援事業が、全体の二分の一を占めている。ただし、店舗売上だけでは厳しく、就労支援事業の利用料と合せて収支が成り立つ状況だ。残り二分の一の財源は、生活保護世帯児童の学習・生活支援やシェアハウス事業など行政からの委託収入、学習塾事業収入、会費・寄付収入で構成される。
「今後は寄付を増やしたい」と島田さん。この数年、寄付の呼びかけを強化し、寄付金収入を増やしたが、その代わりに会費収入が減った。市民や社会からの支持を可視化できる寄付収入は、理事長が代替わりしたからこそ、勇気づけられて有難いものだと言う。法人の議決権を持つ関わり方以外でも、より多くの方に関わって欲しいと、寄付金の税控除の対象となる「認定NPO法人※」取得を目指して、今も寄付を募っている。CIMG5503

「売上向上のためにしていることは?」というコーディネーターからの問いかけに、書店員としても現場で働く石井さんは「売上を追求して売上が上がるものではない。本を一冊だけ買う人にも丁寧に接することが結果的に売上向上につながる。」と話す。人と関わることを楽しみながら接客をしているそうだ。坂道が多い横須賀市。この近辺の大型の書店は坂を下った駅ビルの上階にある。そこまで歩いていけない方やベビーカーを押しているお母さん、ゆっくりしたペースで買い物をしたいという方が、はるかぜ書店にやってくる。商店街での買い物のついでに、フラッと寄り、おしゃべりをして本を買ってくださる方もいる。そして2010年にレンタルボックスが始まり、書店では接点がなかった人とも関われるようになったそうだ。
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はるかぜ書店は、ひきこもり経験者だけで運営しており、5人の未経験者からスタートした。失敗をしても丁寧に対応することで、お客さんとの信頼関係も生まれてきたという。「書店は、ひきこもりの若者の就労支援の場だが、若者たちは、ひきこもり当事者というよりは、書店員としてのプロだ。書店運営の詳細は自分には語れない。」と島田さんは話す。
最後に石井さんから書店で働くことについて伺った。この町に関わるようになって、地域の人達の気さくさに触れた。以前はひきこもっていたということも、「あ、そうなの。」と自然に受け止めてくれる。商店街のイベントに出ることで地域の人の中に溶けこむことができた。地元では味わえなかった感覚だったそうだ。「ここにいると楽しい、心地よい。」そう感じた石井さん。若い人にもそう感じてもらえれば、と話してくれた。

学校へ行けない子どもたちが、アンガージュマン・よこすかを通して、同じような経験をした友達やお兄さん、お姉さんと出会い、地域の大人とふれあう。外の関わりを持たず家族の中で生活するのではなく、外に出て地域で成長できる場と繋がり、多様な人との関わりを通して自分の居場所を作ることが、彼らの成長につながるのではないかと感じた。
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(2013年10月 レポート 学生インターン浜名)

※認定NPO法人:公益の増進に寄与する団体として要件を満たし、都道府県の知事又は指定都市の長から認定を受けたNPO法人。認定NPO法人への寄付金は税制優遇をうけることができる。


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ソーシャルビジネス現場視察会2013 報告レポート       第5回「はるかぜ書店」 

開催日時
2013年10月16日
開催場所
はるかぜ書店

ソーシャルビジネス現場視察会2013 報告レポート 第5回「はるかぜ書店」

学んだポイント:資金調達

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2013年10月16日に第5回ソーシャルビジネス現場視察会「はるかぜ書店」が行われた。
「はるかぜ書店」は2006年横須賀に開業したカフェ・レンタルスペース併設の若者就労支援研修店舗としての書店。ひきこもりや不登校の子ども・若者たちの支援を行う NPO法人アンガージュマン・よこすかが経営、運営はひきこもりの当事者が行っている。理事長の島田徳隆さんは、東京のサポート校講師、 横須賀市青少年課の非常勤職員を経て同法人の活動に携わっている。視察会では、多様な機能で若者を支援する資金調達について学んだ。
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前日からの台風もあり開催が危ぶまれたが、10名の参加で、アットホームな視察会となった。まず初めに店舗を見学した。店内には本だけでなく、レンタルボックスでは手作り品が並べられ、駄菓子コーナー、奥にはカフェスペースもある。そして、のれんをくぐり奥へ進むと、学習塾スペースとなっていて、書店スペースの真裏部分にはフリースペースがあり、畳敷きの自由に過ごせる部屋がある。
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様々な機能が詰まった店舗だが、天井を見るとどのスペースにも壁と天井の間に隙間がある。書店に来てもらったお客さんに、不登校の子どもについて知ってもらうために、あえて子ども達の声が聞こえるような作りにしたそうだ。駄菓子や手作り品を販売しているのも、普段書店に足を運ばない方達にも来てもらい「地域の人に活動を知って興味を持ってもらいたいから」と事務局長の石井さんは話す。
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軍港があり、元々外へ開けた場所だったという土地柄もあってか、この事業を始める時も、まちに受け入れられる感覚があったそうだ。アンガージュマンとは「社会参加」という意味で、「子どもも団体としても社会参加を」と地域に受け入れられるよう商店街のイベントには、積極的に参加している。商店街には若者が少ないので、はるかぜ書店に通う若者たちがイベントなどで街を盛り上げる役割を担っている。
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今回の「学べるポイント」は資金調達。「はるかぜ書店」の概要をお聞きした後、資金調達に関する質問がたくさん上がった。以前は、学習塾事業が収益のメインだったが、現在は書店などの就労支援事業が、全体の二分の一を占めている。ただし、店舗売上だけでは厳しく、就労支援事業の利用料と合せて収支が成り立つ状況だ。残り二分の一の財源は、生活保護世帯児童の学習・生活支援やシェアハウス事業など行政からの委託収入、学習塾事業収入、会費・寄付収入で構成される。
「今後は寄付を増やしたい」と島田さん。この数年、寄付の呼びかけを強化し、寄付金収入を増やしたが、その代わりに会費収入が減った。市民や社会からの支持を可視化できる寄付収入は、理事長が代替わりしたからこそ、勇気づけられて有難いものだと言う。法人の議決権を持つ関わり方以外でも、より多くの方に関わって欲しいと、寄付金の税控除の対象となる「認定NPO法人※」取得を目指して、今も寄付を募っている。CIMG5503

「売上向上のためにしていることは?」というコーディネーターからの問いかけに、書店員としても現場で働く石井さんは「売上を追求して売上が上がるものではない。本を一冊だけ買う人にも丁寧に接することが結果的に売上向上につながる。」と話す。人と関わることを楽しみながら接客をしているそうだ。坂道が多い横須賀市。この近辺の大型の書店は坂を下った駅ビルの上階にある。そこまで歩いていけない方やベビーカーを押しているお母さん、ゆっくりしたペースで買い物をしたいという方が、はるかぜ書店にやってくる。商店街での買い物のついでに、フラッと寄り、おしゃべりをして本を買ってくださる方もいる。そして2010年にレンタルボックスが始まり、書店では接点がなかった人とも関われるようになったそうだ。
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はるかぜ書店は、ひきこもり経験者だけで運営しており、5人の未経験者からスタートした。失敗をしても丁寧に対応することで、お客さんとの信頼関係も生まれてきたという。「書店は、ひきこもりの若者の就労支援の場だが、若者たちは、ひきこもり当事者というよりは、書店員としてのプロだ。書店運営の詳細は自分には語れない。」と島田さんは話す。
最後に石井さんから書店で働くことについて伺った。この町に関わるようになって、地域の人達の気さくさに触れた。以前はひきこもっていたということも、「あ、そうなの。」と自然に受け止めてくれる。商店街のイベントに出ることで地域の人の中に溶けこむことができた。地元では味わえなかった感覚だったそうだ。「ここにいると楽しい、心地よい。」そう感じた石井さん。若い人にもそう感じてもらえれば、と話してくれた。

学校へ行けない子どもたちが、アンガージュマン・よこすかを通して、同じような経験をした友達やお兄さん、お姉さんと出会い、地域の大人とふれあう。外の関わりを持たず家族の中で生活するのではなく、外に出て地域で成長できる場と繋がり、多様な人との関わりを通して自分の居場所を作ることが、彼らの成長につながるのではないかと感じた。
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(2013年10月 レポート 学生インターン浜名)

※認定NPO法人:公益の増進に寄与する団体として要件を満たし、都道府県の知事又は指定都市の長から認定を受けたNPO法人。認定NPO法人への寄付金は税制優遇をうけることができる。


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