ソーシャルビジネス現場訪問レポート2013 Vol.7 「有限会社ネパリ・バザーロ 土屋春代さん」


有限会社ネパリ・バザーロ 土屋春代さん

ネパールの雑貨・服をフェアトレード輸入販売する「ネパリ・バザーロ」は有限会社でありながら、多くの社会貢献活動をおこなっている。昨年は年商1億8千万円。全国に約500社の卸し先を持ち、一般書店にも並ぶ季刊の通販雑誌も発行している。ソーシャルビジネスを実践する国際貢献企業の先駆として、代表の土屋春代さんに20年の歩みを聞いた。

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ネパール女性との出会いが決めた運命

土屋さんは、中学生の頃に「ネパールの赤ひげ」と呼ばれた岩村昇医師の講演を聞く機会があり、「同じ時代に、同じ地球で生まれても、こんなにも生活が違うものなんだ」と深く心に残ったという。この原体験と、成人後に国際貢献活動がしたいと漠然と思っていた時に、日本人男性と結婚したネパール人女性と出会ったことで、自分とネパールの関連に運命的なものを感じた。「彼女からネパール女性の話や、学校に行けない子どもがたくさんいることを聞いて、中学生の頃に聞いた岩村先生のお話と重なり、時代が変わったのにネパールの状況はそれほど変わっていないことにショックを受けました」まずは行ってみようとネパール行きの飛行機に飛び乗った。しかし現地で見たものは、それまで土屋さんが抱いていたイメージとはまったく違っていた。「どこか上から目線で見ていたんですね。“かわいそうな子どもたち”と。でも子どもたちはすごく元気で、みんな生き生きしている。いろいろな立場の人たちが混在して暮らしていて、ネパールという社会にカルチャーショックを受けました。“多様性を認める”とひとくちに言うけれど、こういうことかと思いました」

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現地を訪問したことで“ネパールとつきあっていきたい!”という思いはさらに高まった。当初は教育支援を考えていたが、「自分たちは貧しいけれど、乞食ではない」というネパール人の気持ちを知り、フェアトレード販売に思い至った。「教育も大事だけれど、生きて行くためには仕事が必要。『どういうものを作れば売れますか?』という問いに答えて、仕事づくりを始めるようになりました」。

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日本のクオリティに届く製品をつくる努力

1992年8月に勤めていた会社を退職して有限会社ネパリ・バザーロを設立。「それでも、初めてネパールに行った時に感じた『ここは自由だな、天国だな』という思いはすぐになくなりました。とにかく価値観が違うのです」土屋さんはネパール人が良いと思うものと、日本で売れる商品クオリティとの大きな差異に苦労した。ダメ出しをしても彼らにはなぜダメか理解できない。次第に人間関係は悪化していき、「そんな面倒くさいことなら、つきあいたくない」とまで言われてしまう。服を日本で販売できるレベルに持って行くまでに約10年かかったという。

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価値観の違いもさるものながら、土屋さんの根気強さも相当なものだ。現地の職人を日本に招いての研修、デザインしたスタイルをパターン(型紙)におこすパタンナーを日本から連れて行って現地の作業工程を理解させるなど様々な努力をした。最初は年2回、スタッフが入ってからは年に4、5回とネパールを往復。紹介に頼らずに自力で生産者を探して押しかけて交渉した。農産物以外の交渉の相手は、NGOや女性起業家が多いという。「行けば行くほど人間関係も深まり、製品の質も上がります」商品開発やデザインもすべて土屋さんが手がけることで、日本人の趣向に合う洋服づくりをすることができた。「人間同士のつきあいが親密になると『彼女のために頑張ろう』と思ってもらったり『この人が作ってくれたものだからちゃんと売らないと』など相手を思いやるようになってきます。そうすると質は上がるんですね」。

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94年からコーヒーの輸入を始めた。ネパール初の正式なコーヒーの輸出だった。98年からはあーすぷらざ(神奈川県立地球市民かながわプラザ)にて直営店「ベルダ」をオープンした。また、国内にも目を向けている。輸入したオーガニック紅茶などを横浜市内の障がい者作業所に卸し、作業所でつくってもらったお菓子を販売することで、障がい者支援もしている。東日本大震災後は生活物資のパッケージを持って東北にも足繁く通い、現在は復興支援プロジェクトとして椿油製品で化粧品をつくろうと試作を進めているところだという。

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●組織概要

団体      有限会社ネパリ・バザーロ
所在地     〒247-0007 神奈川県横浜市栄区小菅ヶ谷4-10-15
Webサイト   http://nbazaro.org
http://www.verda.bz

●事業内容

ネパールの人の経済的自立を目指したフェアトレード企業。1992年より、ネパールのハンディクラフト製品、服飾、食品の企画・開発、輸入、卸、販売を手掛ける。神奈川県内の障害者地域作業所と食品の企画・開発・販売もおこなっている。近年は気仙地域に伝わる椿油を使った商品開発・販売による震災復興にも取り組んでいる。

★「ネパリ・バザーロ」の現場視察会に行ってみる→http://socialport-y.jp/?p=3257


ソーシャルビジネス現場訪問レポート2013 Vol.7 「有限会社ネパリ・バザーロ 土屋春代さん」


有限会社ネパリ・バザーロ 土屋春代さん

ネパールの雑貨・服をフェアトレード輸入販売する「ネパリ・バザーロ」は有限会社でありながら、多くの社会貢献活動をおこなっている。昨年は年商1億8千万円。全国に約500社の卸し先を持ち、一般書店にも並ぶ季刊の通販雑誌も発行している。ソーシャルビジネスを実践する国際貢献企業の先駆として、代表の土屋春代さんに20年の歩みを聞いた。

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ネパール女性との出会いが決めた運命

土屋さんは、中学生の頃に「ネパールの赤ひげ」と呼ばれた岩村昇医師の講演を聞く機会があり、「同じ時代に、同じ地球で生まれても、こんなにも生活が違うものなんだ」と深く心に残ったという。この原体験と、成人後に国際貢献活動がしたいと漠然と思っていた時に、日本人男性と結婚したネパール人女性と出会ったことで、自分とネパールの関連に運命的なものを感じた。「彼女からネパール女性の話や、学校に行けない子どもがたくさんいることを聞いて、中学生の頃に聞いた岩村先生のお話と重なり、時代が変わったのにネパールの状況はそれほど変わっていないことにショックを受けました」まずは行ってみようとネパール行きの飛行機に飛び乗った。しかし現地で見たものは、それまで土屋さんが抱いていたイメージとはまったく違っていた。「どこか上から目線で見ていたんですね。“かわいそうな子どもたち”と。でも子どもたちはすごく元気で、みんな生き生きしている。いろいろな立場の人たちが混在して暮らしていて、ネパールという社会にカルチャーショックを受けました。“多様性を認める”とひとくちに言うけれど、こういうことかと思いました」

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現地を訪問したことで“ネパールとつきあっていきたい!”という思いはさらに高まった。当初は教育支援を考えていたが、「自分たちは貧しいけれど、乞食ではない」というネパール人の気持ちを知り、フェアトレード販売に思い至った。「教育も大事だけれど、生きて行くためには仕事が必要。『どういうものを作れば売れますか?』という問いに答えて、仕事づくりを始めるようになりました」。

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日本のクオリティに届く製品をつくる努力

1992年8月に勤めていた会社を退職して有限会社ネパリ・バザーロを設立。「それでも、初めてネパールに行った時に感じた『ここは自由だな、天国だな』という思いはすぐになくなりました。とにかく価値観が違うのです」土屋さんはネパール人が良いと思うものと、日本で売れる商品クオリティとの大きな差異に苦労した。ダメ出しをしても彼らにはなぜダメか理解できない。次第に人間関係は悪化していき、「そんな面倒くさいことなら、つきあいたくない」とまで言われてしまう。服を日本で販売できるレベルに持って行くまでに約10年かかったという。

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価値観の違いもさるものながら、土屋さんの根気強さも相当なものだ。現地の職人を日本に招いての研修、デザインしたスタイルをパターン(型紙)におこすパタンナーを日本から連れて行って現地の作業工程を理解させるなど様々な努力をした。最初は年2回、スタッフが入ってからは年に4、5回とネパールを往復。紹介に頼らずに自力で生産者を探して押しかけて交渉した。農産物以外の交渉の相手は、NGOや女性起業家が多いという。「行けば行くほど人間関係も深まり、製品の質も上がります」商品開発やデザインもすべて土屋さんが手がけることで、日本人の趣向に合う洋服づくりをすることができた。「人間同士のつきあいが親密になると『彼女のために頑張ろう』と思ってもらったり『この人が作ってくれたものだからちゃんと売らないと』など相手を思いやるようになってきます。そうすると質は上がるんですね」。

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94年からコーヒーの輸入を始めた。ネパール初の正式なコーヒーの輸出だった。98年からはあーすぷらざ(神奈川県立地球市民かながわプラザ)にて直営店「ベルダ」をオープンした。また、国内にも目を向けている。輸入したオーガニック紅茶などを横浜市内の障がい者作業所に卸し、作業所でつくってもらったお菓子を販売することで、障がい者支援もしている。東日本大震災後は生活物資のパッケージを持って東北にも足繁く通い、現在は復興支援プロジェクトとして椿油製品で化粧品をつくろうと試作を進めているところだという。

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●組織概要

団体      有限会社ネパリ・バザーロ
所在地     〒247-0007 神奈川県横浜市栄区小菅ヶ谷4-10-15
Webサイト   http://nbazaro.org
http://www.verda.bz

●事業内容

ネパールの人の経済的自立を目指したフェアトレード企業。1992年より、ネパールのハンディクラフト製品、服飾、食品の企画・開発、輸入、卸、販売を手掛ける。神奈川県内の障害者地域作業所と食品の企画・開発・販売もおこなっている。近年は気仙地域に伝わる椿油を使った商品開発・販売による震災復興にも取り組んでいる。

★「ネパリ・バザーロ」の現場視察会に行ってみる→http://socialport-y.jp/?p=3257