横浜スタートアップ事業者レポート 《株式会社ペットボードヘルスケア 堀宏治さん》


ペットのヘルスケアにITを活用して事業を展開する株式会社ペットボードヘルスケアは、スマホアプリからペットデバイスを操作できるペットIoT(Internet of Things)を開発している。ペット医療費の増大により飼い主のペットに対する予防意識が高まる中、ペットのヘルスケアに着目しITによってペットの健康促進を図る次世代のサービスである。

横浜ビジネスグランプリ2017で優秀賞とオーディエンス賞をW受賞された代表取締役の堀さんに起業から横浜ビジネスグランプリ応募の経緯についてお話を伺った。

 

コンサルティングの経験を起業へ

代表の堀さんは過去にNTTデータで病院の情報システム開発を経験し、転職してからは薬の使い方や病院の経営に関するコンサルティングをしていたが、その担当部門が会社から無くなることになり2003年に上司と同僚の 3名で起業して事業を継続することになった。この年は国の医療制度における大転換期であり、医療報酬のレセプトを元に 1,000程の病院から集めた膨大な情報を病院が他の病院と比較することで病院経営に活用できるデータ提供サービスを展開。その後、年商10億円規模の事業となり、その会社を2011年に売却した。

その2011年に起こった3.11東日本大震災。被害が大きく報道される中、避難所でペットを受け入れることの難しさ、保健所で殺処分されるペットがいる厳しい現実を見た。堀さんご自身も犬を飼っていたために何かできないかと考え、熊本県の動物愛護センターを視察するなどペット関連の取り組みをはじめた。そして動物愛護活動の WEBサイト制作資金として20万円をクラウドファンディングで資金調達した後、ペットサロンとして2012年に自己資本で株式会社ぺっとぼーどを創業した。

 

スモールビジネスとスタートアップビジネス

スモールビジネスとして株式会社ぺっとぼーどを事業展開する一方で、これまでの経験を活かしてペットのヘルスケア情報サイトの立ち上げを始めた。その後、スタートアップビジネスを展開する株式会社ペットボードヘルスケアを2015年3月に設立。これには「飼い主はみんな”ペットの病気を治したい”、ならば”ペットが病気にかからないための予防”にフォーカスし、ITとIotを活用して実現させたい」という堀さんの思いが詰まっていた。

スタートアップビジネスはスモールビジネスの店舗とは異なり顧客数のターゲットは桁が違うほどの大きな規模になる。短期間でスケールアップさせるためのIT活用であり、そのために外部資本を入れることになったという。そこで、どのようにして投資家から出資を募ったのか堀さんに伺うと、企業のオープンイノベーションの取り組みが話にあがった。これは大企業がスタートアップビジネスやベンチャービジネスに対する期待度が増したことにより、アイデアやサービスに対する評価を得る機会が増えた。そのため、より多くのビジネスコンテストに応募することで、その経験を次のコンテストに活かせたという。「ITによって時代が変わり、多くの起業家にチャンスが生まれると思います」堀さんは時代の流れというポイントに着目していた。

猫にフォーカスした事業の取り組み

ペットボードヘルスケア社は、ペットのトータル健康サービスのIoT「ハチたま」を提供してきたが、限られた経営資源の中で事業展開するために現在は対象のペットを猫に絞り、ITとIoTで健康状態を把握して病気の早期発見に活かせるスマート猫トイレを開発中だ。

「猫は泌尿器の病気が多く、これまでの診察は飼い主の感覚に頼っていた猫の体調やトイレの様子を獣医師にデータで渡して診察できるようになります」ペットの健康問題に関心を持つ層に対し、より長く一緒に暮らしたいという飼い主のニーズを受けて、会社のコアビジネスにしていく予定だという。

「この仕組みが出来上がれば、自動食洗機や自動掃除機が発売されて家事が変わったように、猫との暮らし方が大きく変わると思います」猫の腎不全は不治の病とされていたが2017年になって新薬が開発された。大学などの機関で研究も進んでおり、このトイレで集めたデータが後に活きてくるのではないかと、外国の獣医師から期待されているそうだ。

時代の流れと共にペットがより”家族化”し、ペットフードの充実や家の中での飼育などペットの住む環境が変化してきた。それにより、以前よりも長生きするようになった分、生活習慣病などにかかることが増えた。「猫の健康状態のデータを24時間モニタリングし、そのデータで病気を予防し、いざというときのペット保険を提供し、集めたデータを治療に役立てるという流れを作っていきたい。コンサルティングの対象が人間からペットの猫に変わったということだと思います」

 

横浜ビジネスグランプリでの経験

「父親の仕事の都合で中学生の頃から横浜市緑区(現在の青葉区)で育ったこともあり、横浜で起業したいという地元愛があります」堀さんに昨年の横浜ビジネスグランプリへ応募した当時を振り返ってもらった。

「様々なスタートアップ支援は本当にありがたく、横浜ビジネスグランプリ2017は社運を掛けて絶対に最優秀賞の 100万円の賞金を取る意気込みで目指しました」社内でプレゼンを繰り返し練習して”心がこもっていない”などと言われた時には喧嘩腰になってしまうくらいに何回もピッチを練習したという。「本気で挑み、オーディエンスにどのように伝えると響くのかを考え抜いたので、実際にオーディエンス賞を受賞したときはユーザーから返答がいただけたようで本当に嬉しかったです」

 

チャレンジすること

横浜ビジネスグランプリ2018の応募者に向けたアドバイスを伺うと堀さんは即答された。「起業を目指す方に質問されることがありますが、失敗するよ、と答えています。一回目は早くやって失敗して、ようやく次が見えてくる。どれだけチャレンジして学んでいけるか。もちろん自分自身もペット業界について分からずに失敗を経験しましたが、失敗したからこそ得られるものがあります」

アイデアを実行に移すことの難しさについては「良いサービスがユーザーの欲しいものなのか。今までのサービスでは思いつかない視点が大切ですし、”0″を”1″にすることは大変な作業です。打率10割はありえませんが、いつまでも失敗できないので、たくさんのアイデアを実行していくことが重要なのではないでしょうか」

横浜ビジネスグランプリでは会場に来ていたオーディエンスの一人が後に会社のメンバーに加わり、思わぬ出会いとつながりが生まれたという、興味深い後日談も伺うことができた。

お知らせ
「横浜ビジネスグランプリ2018」プラン募集中!! 皆さまのビジネスプランをお待ちしております。

お申し込みは2017年11月13日(月)まで(17時必着)
HP:http://www.idec.or.jp/keiei/ybg/gaiyou.php
Facebook:https://www.facebook.com/yokohama.bg

組織概要

株式会社ペットボードヘルスケア
http://hachi8.co.jp/

 

所在地:

湘南
神奈川県鎌倉市七里ヶ浜1-1-1-103

横浜
神奈川県横浜市青葉区みたけ台

白金
東京都港区白金1-13-2-1F (トリミングサロンPetman)

表参道
東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山コスモスサウス3階
青山スタートアップアクセラレーションセンター

 

取材:2017年10月

 


横浜スタートアップ事業者レポート 《株式会社ペットボードヘルスケア 堀宏治さん》


ペットのヘルスケアにITを活用して事業を展開する株式会社ペットボードヘルスケアは、スマホアプリからペットデバイスを操作できるペットIoT(Internet of Things)を開発している。ペット医療費の増大により飼い主のペットに対する予防意識が高まる中、ペットのヘルスケアに着目しITによってペットの健康促進を図る次世代のサービスである。

横浜ビジネスグランプリ2017で優秀賞とオーディエンス賞をW受賞された代表取締役の堀さんに起業から横浜ビジネスグランプリ応募の経緯についてお話を伺った。

 

コンサルティングの経験を起業へ

代表の堀さんは過去にNTTデータで病院の情報システム開発を経験し、転職してからは薬の使い方や病院の経営に関するコンサルティングをしていたが、その担当部門が会社から無くなることになり2003年に上司と同僚の 3名で起業して事業を継続することになった。この年は国の医療制度における大転換期であり、医療報酬のレセプトを元に 1,000程の病院から集めた膨大な情報を病院が他の病院と比較することで病院経営に活用できるデータ提供サービスを展開。その後、年商10億円規模の事業となり、その会社を2011年に売却した。

その2011年に起こった3.11東日本大震災。被害が大きく報道される中、避難所でペットを受け入れることの難しさ、保健所で殺処分されるペットがいる厳しい現実を見た。堀さんご自身も犬を飼っていたために何かできないかと考え、熊本県の動物愛護センターを視察するなどペット関連の取り組みをはじめた。そして動物愛護活動の WEBサイト制作資金として20万円をクラウドファンディングで資金調達した後、ペットサロンとして2012年に自己資本で株式会社ぺっとぼーどを創業した。

 

スモールビジネスとスタートアップビジネス

スモールビジネスとして株式会社ぺっとぼーどを事業展開する一方で、これまでの経験を活かしてペットのヘルスケア情報サイトの立ち上げを始めた。その後、スタートアップビジネスを展開する株式会社ペットボードヘルスケアを2015年3月に設立。これには「飼い主はみんな”ペットの病気を治したい”、ならば”ペットが病気にかからないための予防”にフォーカスし、ITとIotを活用して実現させたい」という堀さんの思いが詰まっていた。

スタートアップビジネスはスモールビジネスの店舗とは異なり顧客数のターゲットは桁が違うほどの大きな規模になる。短期間でスケールアップさせるためのIT活用であり、そのために外部資本を入れることになったという。そこで、どのようにして投資家から出資を募ったのか堀さんに伺うと、企業のオープンイノベーションの取り組みが話にあがった。これは大企業がスタートアップビジネスやベンチャービジネスに対する期待度が増したことにより、アイデアやサービスに対する評価を得る機会が増えた。そのため、より多くのビジネスコンテストに応募することで、その経験を次のコンテストに活かせたという。「ITによって時代が変わり、多くの起業家にチャンスが生まれると思います」堀さんは時代の流れというポイントに着目していた。

猫にフォーカスした事業の取り組み

ペットボードヘルスケア社は、ペットのトータル健康サービスのIoT「ハチたま」を提供してきたが、限られた経営資源の中で事業展開するために現在は対象のペットを猫に絞り、ITとIoTで健康状態を把握して病気の早期発見に活かせるスマート猫トイレを開発中だ。

「猫は泌尿器の病気が多く、これまでの診察は飼い主の感覚に頼っていた猫の体調やトイレの様子を獣医師にデータで渡して診察できるようになります」ペットの健康問題に関心を持つ層に対し、より長く一緒に暮らしたいという飼い主のニーズを受けて、会社のコアビジネスにしていく予定だという。

「この仕組みが出来上がれば、自動食洗機や自動掃除機が発売されて家事が変わったように、猫との暮らし方が大きく変わると思います」猫の腎不全は不治の病とされていたが2017年になって新薬が開発された。大学などの機関で研究も進んでおり、このトイレで集めたデータが後に活きてくるのではないかと、外国の獣医師から期待されているそうだ。

時代の流れと共にペットがより”家族化”し、ペットフードの充実や家の中での飼育などペットの住む環境が変化してきた。それにより、以前よりも長生きするようになった分、生活習慣病などにかかることが増えた。「猫の健康状態のデータを24時間モニタリングし、そのデータで病気を予防し、いざというときのペット保険を提供し、集めたデータを治療に役立てるという流れを作っていきたい。コンサルティングの対象が人間からペットの猫に変わったということだと思います」

 

横浜ビジネスグランプリでの経験

「父親の仕事の都合で中学生の頃から横浜市緑区(現在の青葉区)で育ったこともあり、横浜で起業したいという地元愛があります」堀さんに昨年の横浜ビジネスグランプリへ応募した当時を振り返ってもらった。

「様々なスタートアップ支援は本当にありがたく、横浜ビジネスグランプリ2017は社運を掛けて絶対に最優秀賞の 100万円の賞金を取る意気込みで目指しました」社内でプレゼンを繰り返し練習して”心がこもっていない”などと言われた時には喧嘩腰になってしまうくらいに何回もピッチを練習したという。「本気で挑み、オーディエンスにどのように伝えると響くのかを考え抜いたので、実際にオーディエンス賞を受賞したときはユーザーから返答がいただけたようで本当に嬉しかったです」

 

チャレンジすること

横浜ビジネスグランプリ2018の応募者に向けたアドバイスを伺うと堀さんは即答された。「起業を目指す方に質問されることがありますが、失敗するよ、と答えています。一回目は早くやって失敗して、ようやく次が見えてくる。どれだけチャレンジして学んでいけるか。もちろん自分自身もペット業界について分からずに失敗を経験しましたが、失敗したからこそ得られるものがあります」

アイデアを実行に移すことの難しさについては「良いサービスがユーザーの欲しいものなのか。今までのサービスでは思いつかない視点が大切ですし、”0″を”1″にすることは大変な作業です。打率10割はありえませんが、いつまでも失敗できないので、たくさんのアイデアを実行していくことが重要なのではないでしょうか」

横浜ビジネスグランプリでは会場に来ていたオーディエンスの一人が後に会社のメンバーに加わり、思わぬ出会いとつながりが生まれたという、興味深い後日談も伺うことができた。

お知らせ
「横浜ビジネスグランプリ2018」プラン募集中!! 皆さまのビジネスプランをお待ちしております。

お申し込みは2017年11月13日(月)まで(17時必着)
HP:http://www.idec.or.jp/keiei/ybg/gaiyou.php
Facebook:https://www.facebook.com/yokohama.bg

組織概要

株式会社ペットボードヘルスケア
http://hachi8.co.jp/

 

所在地:

湘南
神奈川県鎌倉市七里ヶ浜1-1-1-103

横浜
神奈川県横浜市青葉区みたけ台

白金
東京都港区白金1-13-2-1F (トリミングサロンPetman)

表参道
東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山コスモスサウス3階
青山スタートアップアクセラレーションセンター

 

取材:2017年10月